水再生センター・汚泥資源化センター体験型見学会参加レポート

 平成21年10月13,14日、末広町の北部第二水再生センターにて施設見学会が行なわれた。

 環境を語るうえで汚水処理の勉強は欠かせない事だが、個人的に申し込んで職員のかたの手を煩わせることも無く学べる貴重な機会を得られたのでありがたく参加してきた。

 臨港バスふれーゆ行き・東京ガス前で降りると、すぐ目の前に北部第二水再生センターがある。 外からは少しだけ巨大なタンクが見える場所ではあるが、一体何をしている施設なのかは今まで漠然としか分からなかった。

 中に入ると職員のかたが誘導してくださり、明治時代に上水道を整備する以前に作られた煉瓦造りの下水管やその他様々な展示物の説明を受けながら説明会場に入った。

施設内見学

 まずはビデオを見たのち「よこはまの下水道」というパンフレットに沿っての学習。 下水道には生活環境の整備・浸水対策・自然環境の保護の役割がある事、下水管には汚水帯(生活廃水)と雨水帯に分離してある地域と合流式になっている地域がある事、沈砂池で大きなゴミを取り除いてから最初沈殿池に送られ、汚泥とうわ水に分けられうわ水は反応タンクにて微生物に分解してもらい、最終沈殿池にて再びうわ水と汚泥に分けられうわ水は消毒施設へ、最終的に川や海へ放流する事などを学んだ。鶴見川の2/3は処理水であることは大変意外だった。

 さて、この横浜市内の下水道施設だが、高い所から低い所へと自然流下させるためか、水再生センターが無い区が市の西側に6区、戸塚区、都筑区以東に11箇所の水再生センターが点在しているが地形に応じて下水を集めやすくしているため等間隔ではない。このうち栄区と鶴見区には2箇所ずつある。先に述べた汚泥を処理する施設は金沢区と鶴見区の2箇所のみ。鶴見区はポンプ場も含めると市内に大きく貢献しているというわけだ。ちなみに、市内に張り巡らされた下水管の総長は横浜からニューヨークまでの距離に匹敵するそうだ。

処理された水のサンプル

 学習後、別室にて反応タンクの中で微生物がどういう動きをしているかを説明してもらう。 電子顕微鏡にて実際に微生物が動いているさまや、見学当日に運ばれてきたばかりの汚水、うわ水となって別のビーカーに落ちていくやや透明な水を実際に目にし、見学会参加者からは最初の微生物はどこから来たのか、微生物が全滅してしまうような毒性の強い汚水が来たらどうするのか等、活発な質問が飛んだ。(答えは文章末尾に)

 次は豪雨体験。鶴見区での記録的な豪雨、1時間あたり95ミリの雨をレインスーツと傘で完全防備して臨んだ。最初から豪雨だと思って中に居ると強い雨程度にしか思えないかもしれないが、これに風が加わったり近くの建物からの影響を受けたらと思うと相当の脅威に感じられた。鶴見区内には集中豪雨が来ると冠水してしまう場所がいくつかあるが、こういった対策も下水道が役割を担っていたとは、見学に来なければ気付かなかった事である。

 水再生センターでの最後の見学場所・自家発電装置。 東京電力での停電のさいにポンプを動かすために使われるが、晴天時に使われる分の電力を予測したアンペアで契約しているため、それを超える時にも自家発電をする。参加者にも電源on/offボタンを操作させていただいた。

大きなタンク (愛称:エコたまご鶴見)

 見学開始から1時間強を過ぎ、次は隣接する汚泥資源化センターへ。 先ほどの汚水の、うわ水の底に沈殿した汚泥を処理する施設だ。 まずはパンフレットを見ながらの学習会。地下の汚泥管から送られてきた汚泥は、この北部施設と金沢区にある南部施設にて濃縮・消化・脱水されたのち焼却し、出た灰はセメント原料と改良土に100%リサイクルされる。 ふれーゆに行く時に塀の中に見えるタンクはこの消化のための施設だ。 消化タンクは6800立方メートル、36℃で30日間かけてかけて汚泥を分解する。このさいに出てくるガスから硫化水素を取り除き消化ガスとして発電に7、焼却に3の割合で使われている。

 一通りの汚泥の流れを学んだのち、焼却設備を見学。消化タンクの屋上には内部を見るための窓があり、覗くと無数に泡立っているのが見える。焼却施設に移動後、見学の最後に汚泥をすくい上げるクレーン操作も数名のかたがさせていただいていた。臭いがある場所らしいが、汚泥のある場所には脱臭装置が設けられており、殆ど感じられなかった。

 この設備は世界中からの視察も多いという話だ。下水は化学処理をして即川に流していたとばかり思っていた筆者にとっては、微生物を使って100%リサイクルしているというシステムはただただ驚いたし、そういった循環型を作ってくれた横浜市を誇らしくも思った。

いただいた見学記念品

 帰りにはお土産に苗木もいただいた(ヤマブキ・ムクゲ・モミジのうち1本)。配布された資料によると開港150周年にちなんで150万本植樹をしようというキャンペーンの一環のようだった。他にいただいた下敷き、マスコット、携帯ストラップともども、いい見学記念になった。

 この見学会は鶴見区の広報に掲載されていたイベントであるが、こういった行事にありがちな事前申し込みが不要であった為、気軽な気持ちで参加できた。準備をされる職員のかたは人数が把握できないと大変だとは思うが、広報紙の配布時期と開催時期の間が開くようなイベントだと予定が立たないまま申し込みを逃すケースが多いので、当日直接会場に行けば参加できる行事というのは大変ありがたいと思う。

 また、鶴見区内の小学校の社会科見学では定番コースのようだが、折角世界にも誇れるような施設があるのだから児童と一緒に保護者も見学できたり、区外の人にも見学会を周知させるような仕組みを設けていただければ尚良いのではないかと思った。

<反応タンクでの答え>
・微生物はどこの汚水にも土の中にも居るので、最初にどこかから持ってきたりはしなかったそうです。
・過去には工場廃水の問題があったが、今は排出基準があるため毒性のある廃水は無いということ。よかったですね。

●参考ホームページ

 
 
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