三ツ池公園の外来魚駆除活動に392人参加、今年度の総参加者数は5,000人超え2009/11/1

県立三ツ池公園は、「下の池」「中の池」「上の池」という三つの池が中心にあります。

外来魚は、繁殖力が非常に強く、天敵がいないために池の中を占領してしまいます。その結果、在来魚は餌として食べられるだけでなく、餌や生息地を奪われて死んでしまうこともあります。このように、外来魚は大きな被害をもたらし、これまで存在した生態系を破壊してしまいます。

そこで、外来魚の駆除に取り組んでいるのが、「三ツ池公を活用する会 水辺クラブ(代表:天野隆雄さん)」です。この団体は2006年から毎月2回のペースで、ブラックバスやブルーギルなどの特定外来生物を釣り上げる活動を行っています。参加者数はこの日で392人で、今年度の総参加者数は5,000人を超えました。また、この日は地引網も行われました。

三ツ池公園の外来魚駆除活動、参加者数は日本一の実績を誇る

「三ツ池公を活用する会 水辺クラブ」は、「ブラックバス防除市民活動ネットワーク」という組織に加盟しています。この組織が発行した報告書によると、同会の外来魚防除活動への参加者総数は日本一の実績であり、琵琶湖の防除活動を大きく上回っています。

この日も、地元の鶴見区の方々はもちろん、東京や千葉からも多くの参加者が集まりました。女性や親子連れ、子供たちも多く参加していたことが目立ちました。

三ツ池公園の外来魚駆除活動、2008年に「かい掘り」実施

三ツ池公園では、外来魚駆除の一環として、2008年2月に「かい掘り」と呼ばれる作業が上の池で公園管理者と共同で行われました。この作業では、池の水を抜き、底にたまった泥池の水を抜き底にたまった泥をさらい、外来魚を一掃する作業です。

この取り組みの結果、上の池では成果が見られています。現在、上の池の在来魚と外来魚の割合は1:30まで回復しました。以前は100:1で在来魚はこのままでは絶滅するのではと言われていました。

一方、中の池と下の池ではまだかい掘り作業が行われていないため、外来魚と在来魚の比率はおよそ3:7となっています。駆除活動は慎重に行われる必要があります。

上の池ではかい掘りの成果があり、ブラックバスやブルーギルの数はほとんどいなくなりましたが、かつてその餌となっていたアメリカザリガニの数が急増していることも確認されています。

三ツ池公園の外来魚駆除活動は、さまざまな要素を考慮しながら継続されており、生態系の回復とバランスの取れた状態を目指して取り組んでいます。

今後は在来魚を増やす活動へ

最初は釣り禁止の池で釣りが公然とでき、面白半分だったかもしれません。しかし、徐々に参加者の意識が変化し、「池を守る」という気持ちが高まってきました。

この活動を始めた当初は、糸を垂らすとすぐに魚が食いつくという入れ食いの状態でした。最高で400匹以上釣った人もいました。しかし最近では、一匹も釣れない参加者も多く見られます。一定の成果が出てきました。

しかし、この魚の繁殖力は非常に強いため、油断することはできません。定期的に駆除を行う必要がありますが、今後は環境の整備も行い、水草を植え、水を清潔に保ちながら在来魚を増やす活動も進めていきたいと、代表の天野さんは述べています。

三ッ池公園第54回外来魚防除活動報告 11月1日(日)

Regenerate response

参加者 392人 09年度累計 5084人
              捕獲数   09年度累計
ブルーギル       747匹    29,238匹
アメリカザリガニ    905匹     13,605匹
ミシシッピアカミミガメ  2匹     45匹
ウシガエル        1匹     94匹
ブラックバス        0匹      24匹

●ブルーギル
 湖や池など、水の流れがあまりない淡水域に生息する。雑食性で、水生昆虫・甲殻類・貝類・小魚・魚卵などいろいろな小動物を捕食するが、餌料生物が少ないときには水草も食べる。大型個体はブラックバスの巣を襲い、親魚の隙を突いて卵や仔魚を捕食することもある。ブルーギルは短期間で個体数を増やすことができ、各地で分布を広げている。
 日本への移入は、1960年に皇太子明仁親王(今上天皇)が外遊の際、シカゴ市長から寄贈されミシシッピ川水系原産の15匹を日本に持ち帰り、水産庁淡水区水産研究所が食用研究対象として飼育したのち、1966年に静岡県伊東市の一碧湖に放流したのが最初とされている。
●ブラックバスとルアーフィッシング
 淡水域に生息する。食欲が極めて旺盛で、小魚、甲殻類、貝類、昆虫、カエル、ザリガニなどの生きた小動物を捕食する、非常に高い攻撃性を持つ。 1925年、実業家がアメリカのカリフォルニア州からオオクチバスを持ち帰り、箱根の芦ノ湖に放流したのが最初とされる(約90匹)。これは食用、釣り対象魚として養殖の容易な魚であることから政府の許可の下に行われた試みだった。1983年にはほぼ日本全国に大口バスが分布。
 1970年代にスマートな釣り竿、キャッチアンド リリースといった釣りスタイルのファッション性が人気を呼び、ルアーフィッシングブームが巻き起こる。このブームに呼応するかのようにブラックバスの分布は急速に拡大していく。ブラックバス釣りの愛好家は、「バサー (basser)」や「バス・フィッシャー (bass fisher)」などと呼ばれる。全国にはブラックバスフィッシングの愛好家を対象とするビジネスを展開する多数の事業者(貸しボート業、売店、飲食施設、宿泊施設等)があり、地域経済の中心にこの魚を置いているところも少なくない。こうしたブームの旗振り役を果たしたのが、メディアや釣り具業者といった「釣り業界」であったと言われている。ブラックバスは日本に定着してから既に80年を経過している。
●外来生物法
 平成18年6月調査、 自然の保護と利用に関する世論調査によれば、動植物の持ち込みを制限したほうがよいとする者88.2%、生態系を守るために移入種を駆除したほうがよいとする者73.8%に達し、国民の大多数が移入種に対してノーを突きつけた。
 そして、環境省は、生態系に関わる被害および農林水産業に関わる被害があるとして、2005年6月より施行した「外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)」により、ブラックバスのうちオオクチバスおよびコクチバス、ブルーギルの輸入、飼養、運搬、移殖を、原則として禁止することとした。
 しかし残念ならが一向に違法放流は止まらない。
* フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋。

●参考ホームページ

外来生物法 -特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律
全国ブラックバス防除市民ネットワーク
世論調査報告書 平成18年6月調査 自然の保護と利用に関する世論調査

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